福島美穂子
 
 「試験終了です」試験監督の声が耳に入った瞬間、「落ちた・・・」そう信じて疑いません でした。今年の司法書士試験は時間との闘いでした。試験直後の私は、半面白紙の答案用 紙を前にして落胆のあまり呆然としていました。まさか、その3か月後に合格通知を受け 取ることができるなど想像もしていませんでした。長年の重圧から解き放たれて、いま解 放感に満ち溢れています。
 私が司法書士を目指したのは7 年前のことです。私は外国語大学を卒業した後、航空会 社で国際線スチュワーデスとして勤務しました。その後、専門学校や短期大学の講師を長 年続けていました。当時、1歳に満たない子供を抱えながら自立する道を画策していた私 は、資格を取って司法書士になろうと思い立ったのです。
 独学は難しいと考えた私は、まず予備校の資料集めを始めました。一人でも多くの受講 生を獲得したいという意図が露骨な大手予備校の広告に比べ、「気に入った人だけが来てく れればよい」という嶺先生の強気の姿勢に惹かれました。講義内容や指導力に自信がある からこその戦略だと感じて、迷うことなくアイシスを選びました。
 アイシスの授業は細かい論点にまで亘っていて、中上級者にも満足できるレベルでした。 初学者の私にとってかなり難しい授業でしたが、事前にレジメとビデオを送ってもらい予 習できたこともあり、なんとか講義についていくことができました。
 しかし、子育てと仕事をしながらの受験生活は決して楽なものではありませんでした。2 年前から司法書士事務所の補助者として働き始めましたので、なおさら勉強する時間が取 れません。朝早く起きて1時間程勉強、通勤電車の中で本を読み、歩きながらテープを聞 く。「勉強する時間がほしい」という思いが強かった分、時間を無駄にすることなく効率的 に勉強ができたのかもしれません。
 冒頭に述べたように、今年の試験は多くの受験生にとって圧倒的な時間不足でした。極 限状態の中で、最大の力を出し切れたか否かが勝敗を決めたといって良いと思います。私 自身何度もパニックに陥りそうになりながら、「確実に点を取っていくこと」だけを考えて 何とか平常心を保つことができました。その結果、最後まで書き終えることができなかっ たにも拘らず、合格基準点をクリアすることができたのです。「どんな問題が出題されても 対応できる」という自信を持って挑んだ試験であったからこそ、成せた業なのかもしれま せん。
 アイシス時代には、嶺先生のお宅に大勢でお邪魔したり、貸し切りバスで遠足に連れて 行っていただいたりと楽しい思い出がたくさんあります。一見クールな嶺先生は実は熱い ハートの持ち主であることもよくわかりました。アイシス時代に出会った仲間たちとは今 でも交流を持っており、かけがえのない存在となっています。
 私がこうやって合格できたのも、アイシスとの出合いを初めとして、家族のサポートが あり、友人の励ましがあり、職場の理解があったからこそのことです。今、すべてに感謝 する気持ちでいっぱいである共に、これから司法書士としての職責を全うしていかなけれ ばならないと気が引き締まる思いでいます。
 司法書士試験というのは実力がなければ決して受かるものではありません。しかし、実 力があるから必ず受かるとは限らないというところがこの試験の非情なところです。十分 な実力を備えているにも拘らず、惜しくも合格を逃し続けている方もいらっしゃることと 思います。でも、あきらめないでください。粘り強く続けていれば、必ず報われる日がや ってきます。自分を信じて、どうぞ最後まで力を出し切ってください。応援しています。